相続が開始したときにする手続きにはどのようなものがありますか。
相続が開始したときにはさまざまな諸手続きをする必要があります。多い方は100種類くらいの手続きが必要になります。区役所(市役所)への死亡届けなどのご本人でも簡単にできるものから、不動産の相続登記、相続税の申告など、専門家に依頼しなければ、ご本人では困難な手続きまで諸々です。以下に主な手続きを揚げておきます。
死亡届、火葬許可申請、埋葬料の申請、健康保険関係の届出、運転免許証関係の届出、
準確定申告、遺言書の有無の確認、相続放棄・限定承認の届出、福祉事務所への届出、
勤務先への死亡退職届、退職金の請求、生命保険金関係の請求、公共料金関係の届出、
電話加入権の変更届、携帯電話の名義変更、自動車の名義変更、年金関係の届出、
通帳印鑑などの確認、預貯金等の銀行関係の届出、株式債券等の証券会社関係の届出、
火災保険などの損害保険関係の届出、借地借家などの契約名義変更、カード会社への届出、
旅券などの届出、など
遺言書の検認、相続人の確認調査、権利書・地番などの確認及び調査、遺産分割協議書の作成、
相続名義変更登記、相続税の申告(一定財産以上の場合)、など
会社への死亡届、役員変更の取締役会・株主総会の開催、役員変更登記、株主の名義変更手続き、など。
当事務所では、税金の申告以外にも相続関係の諸手続きをお手伝いいたします。お気軽にご相談下さい。期限のある手続きもありますので、早めにご相談下さい。無料相談もお受けしています。ご希望の方はこちら。
相続人と法定相続分はどのようになりますか。
相続人の範囲や法定相続分は、民法887条以下に次のとおり定められています。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位: 死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、近い世代である子供の方を優先します。
第2順位: 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位: 死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供(おい、めい)。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
イ: 配偶者と子供が相続人である場合
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
ロ: 配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3。
ハ: 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
また、民法に定められた法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。実際の相続分は遺言書の有無や特別受益などによって変わります。被相続人の養子も子供として相続人になりますが、相続税の計算では制限される場合があります(ただし、税金計算上で養子の人数が制限されたとしても、民法上の相続人の地位や法定相続分が制限される訳ではありません)。
相続があったのですが、相続税の申告は必要ですか。
相続が発生したからといって、すべての方に相続税の申告義務があるわけではありません。
なぜなら、相続税には基礎控除があり、全ての遺産の評価額が相続税の基礎控除額以下であれば相続税は課税されないからです。
基礎控除額は次の計算式で求めた金額になります。
相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が妻と子供2人の計3名の場合には、相続税の基礎控除額は4,800万円となります。
従って、総遺産の評価額が4,800万円以下であれば、相続税の申告をする必要はありません。
相続税の申告書の提出期限(納期限)は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。10ヶ月というと長く感じられますが、葬儀、法要、遺産の整理や確認、遺産分割協議、上記の諸手続きなどですぐに経過してしまいます。必要があると思われましたら早めにご相談下さい。
相続税の申告までのスケジュールはどのようになりますか。
相続開始
↓
遺言書の有無の確認
↓
相続人の確定
↓
3ヶ月以内 :
相続放棄又は限定承認の手続き
↓
4ヶ月以内 :
被相続人の所得税準確定申告
↓
相続財産の調査、評価額算定
↓
遺産分割協議書作成
↓
遺産の名義変更
↓
相続税申告書の作成
↓
10ヶ月以内 :
相続税申告及び納税
申告後1年くらいに税務署の調査などが行われる場合があります。
当事務所では、相続人の方にご安心いただけるように調査の立会いはもちろん、事前にお伺いして、調査のリハーサルなども実施しております。
相続税の調査はどのようなものですか。
相続税の申告をおこなった後に、約1年から1年半後くらいに税務署(国税局)から申告内容についてお話を聞きたいとのことで連絡があり、税務調査が実施されることがあります。
通常は2名の調査官が自宅に来て、申告内容についての聞き取りや関連する資料(不動産、預貯金、有価証券、保険金などに関する資料)の確認をします。その後、必要に応じて現地調査や銀行、証券会社などの調査が行なわれます。
一連の調査が実施された後に、まとめとして再度調査官が自宅に来たり、税務署に出向いたりして調査結果の説明を受けることになります。
調査が実施される期間は通常の場合1~2ヶ月間ほどになります。
税理士が関与する場合には、調査期間中に相続人の方が直接、調査官と接するのは自宅に来たり、税務署に出向いたりする1~2回ほどで、その他のやり取りや交渉は税理士が窓口となりますので、精神的及び時間的な負担は税理士が関与していない場合に比較して相当に軽減されます。
当事務所では、国税局での勤務経験などから、自宅で実施される調査などでのご注意や準備を具体的に説明しておりますので、より安心して頂けるものと思います。